2024 年 63 巻 1 号 p. 25-30
本研究の目的は,ノイズ特性評価により反応暴走を早期検知できる方法の提案である.提案手法を検証するために,セミョーノフ理論に基づき反応暴走シミュレーションを行った.このモデルは発熱反応の速さを表すパラメータを持ち,この値が臨界値以下であるときにのみ定常状態が達成される.このモデルを拡張し,ノイズの影響を考慮できる確率微分方程式を得,オイラー・丸山法を用いて数値的に解いた.その結果,熱暴走の臨界条件が近づくと標準偏差と自己相関が増大することがわかった.このことに基づき早期発見を可能にする動的マーカーを定義し,数値計算の結果を用いて有効性を検証した.その結果,動的マーカーは,温度の平滑化した値や標準偏差,自己相関などといった他の指標よりも有意に急激に増加することがわかり,早期発見のための安全指標として有効であることが示唆された.