2021 年 77 巻 2 号 p. I_139-I_144
厚真川下流域におけるシシャモ産卵場特性の把握および北海道胆振東部地震後の崩壊地からの細粒土砂流入の影響の検討を目的に,11年間の産卵場調査データを用いた統計モデルの構築,および2次元流れ・河床変動解析を行った.統計モデルによると,産卵適地は粗砂分が多く,底層流速0.4m/sの場所が該当した.数値解析からは,厚真川では冬季平均日流量5m3/s付近を境に上記の産卵適地が上流側へ移動するため,低流量~高流量まで一連で対応できる産卵場が少ないことが確認された.地震後に増えた細粒土砂は主に河岸付近へ堆積し,低水路への堆積は少なく,シシャモ産卵場への影響は小さい可能性が示唆された.