2019 年 5 巻 1 号 p. 21-30
ドコサヘキサエン酸(Docosahexaenoic acid:DHA)とエイコサペンタエン酸(Eicosapentaenoic acid:EPA)を多く含む食品の摂取による認知機能と血液生化学検査値の変化を調べた。対象は,高齢者18名,ラット12匹であり,食品の摂取期間は,高齢者30日間,ラット17週間であった。認知機能の評価には,高齢者は Mini-Mental State Examination(MMSE),ラットはバーンズ迷路試験,新奇物体認識試験,Y字迷路試験を用いた。結果,高齢者(15名)は摂取前後で生化学検査値に差はなかったが,摂取後に MMSE 満点群(10名)は満点未満群( 6 名)と比べて HDL コレステロールが高値を示した。また,ラットは対照群( 6 匹)と比べて,摂取群( 6 匹)で試験開始から 9 日目のバーンズ迷路試験において有意に低値を示した。今回の研究において,高齢者では血液データの変化を捉えることができなかったが,ラットでは DHA および EPA を多く摂取することで,学習で得られた記憶が長期的に強化されることが示唆された。