2021 年 7 巻 1 号 p. 15-20
[目的]本研究は,地域住民の自立した生活維持のために,特別な道具を使わずに自重のみを負荷とした「とすっこ体操」を通いの場に導入し,その効果について身体機能面および生活機能面から検討した。[対象]地域在住高齢者のうち,身体機能評価は196名(男性42名,女性154名,平均年齢75.6±6.7歳),生活機能評価は66名(男性11名,女性55名,平均年齢74.3±6.8歳)を対象とした。[方法]本研究では,身体機能評価として Timed up and go test(TUG),30秒立ち上がりテスト(30-sec chair stand test : CS-30)を測定し,生活機能評価として改訂版 Frenchay Activities Index(FAI)および老研式活動能力指標(老研式)を実施した。[結果]TUG は立ち上げ時と比較して,3 か月時・ 6か月時・12か月時の全ての測定時期で有意に時間が短縮したが,その他には有意差は認められなかった。CS-30では,立ち上げ時と比較して3か月時・ 6か月時・12か月時の全ての測定時期で有意に回数が増加した。また3か月時との比較では6か月時と12か月時において有意に回数が増加した。一方で,6か月時と12か月時の間に有意な差は認められなかった。FAI と老研式は全ての測定時期で有意な差は認められなかった。[結論]「とすっこ体操」が身体機能面の改善および生活機能面の維持に効果的であることが示された。