2019 年 13 巻 1 号 p. 27-36
本研究の目的は,高齢者が自分と同質性の高い組織に参加する要因を高齢者の属性と地域組織の種類から探ることである.首都圏30自治体から無作為抽出した12,000人の調査から,60歳以上無職で地域組織に参加する903名を分析対象とした.参加者の性,年齢,学歴の同質性を従属変数とする2項ロジスティック回帰分析(強制投入法)を行い,性,年齢,学歴,世帯収入,健康度自己評価,重要な組織の主効果及び性別との交互作用効果を検討した.主効果では,男性と比較して女性は,性や学歴の同質性が高い組織に帰属する傾向がみられた.交互作用効果では,健康度自己評価の高い男性で性の同質性が,問題解決型組織を重要とする女性で学歴の同質性が高かった.また,学歴の高い女性は年齢の同質性が,地縁組織を重要とする女性で性の同質性が,問題解決型組織を重要とする男性で年齢や学歴の同質性が低い傾向がみられた.地域組織では参加者の同質傾向に対する戦略の必要性が示唆された.