応用老年学
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原著論文
団塊の世代および全共闘世代の高齢者にみられる最近の若者効果の検討
-昔の若者と最近の若者のイメージ比較-
菊地 亜華里Pongampai Korapin権藤 恭之
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2025 年 19 巻 1 号 p. 20-30

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抄録

 本研究は,高齢者から若者へのエイジズムとして「最近の若者効果」に注目した.70代高齢者(分析対象者390名)を対象に,「昔の若者」,全般的「若者」,「最近の若者」の順にイメージが肯定的であるという仮説を検証した.SD法でイメージを測定した結果,「良い–悪い」という全体的評価ではイメージ間に差がなかった.ただし,因子分析の結果,高齢者は若者イメージを,若者への印象全般を評価軸とした「力量性・活動性」と,社会的規範を評価軸とした「評価性」の2側面から評価しており,特に「評価性」の側面で,昔の若者を他の若者と比べて肯定的に評価していることが明らかとなった.昔の若者が常に肯定的に評価されるというバイアスが確認され,仮説が一部支持された.最近の若者効果は,最近の若者への絶対的な否定的評価が生じているのではなく,高齢者が現在の自分を投影した昔の若者への評価との相対的な差として生じていることが示唆された.

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© 2025 一般社団法人 日本応用老年学会
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