本研究は,日中における「自立」概念に関する先行研究を整理・検討し,両国の共通点および相違点を明らかにした上で,双方の「自立」概念の要素を包含する枠組みを提案した.日本の介護サービスでは「自立支援」が重視される一方,中国の現場では十分に理解されていない.その背景には,「自立」に対する認識の違いが影響している可能性があると考えられる.
本研究では,先行研究から「自立」の要素を抽出し,「自身の力だけでできる」「自分の能力を最大限に活用することができる」「社会的役割を果たすことができる」「必要な支援を受けることができる」「自己の選択や自己決定ができる」の五つの要素により構成される「自立」概念の枠組みを提示した.
今後は,上記五つの要素に基づいて作成される質問項目で実際のデータ収集を行い,日本の自立支援が中国で受け入れられにくい要因を探り,中国の介護現場に適した支援の在り方を提言する.
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