応用老年学
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原著論文
高齢期における感謝と未来展望および精神的健康の関連
鷲巣 奈保子内藤 俊史
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2025 年 19 巻 1 号 p. 61-71

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抄録

 本研究の目的は,高齢者において未来展望が対象別感謝を介して精神的健康と関連をもつかを検討することである.60歳から79歳までの高齢者200名(男性100名,女性100名)を対象にweb調査を行った.未来展望を独立変数とし,対象別感謝の4カテゴリ(具体的対人感謝,抽象的対人感謝,具体的非対人感謝,抽象的非対人感謝)を媒介変数,精神的健康を従属変数として媒介分析を行なった.分析の結果,未来展望の下位因子「残された機会への注目」は,幅広い対象への感謝を介して精神的健康と関連をもっていた.高齢であっても未来に多くの機会や可能性が残されていると知覚している人ほど幅広い対象への感謝を感じやすく,そのような感謝を介して精神的健康が促進される可能性が示唆された.

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© 2025 一般社団法人 日本応用老年学会
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