2008 年 2 巻 1 号 p. 40-49
本研究の目的は、虚弱な高齢者が運動を実施することで得られる主権的健康度・機能状態の評価尺度を開発することであった。調査Ⅰでは、虚弱な高齢者194名 (80.6±7.7歳) を対象に質問紙調査を行った。うち99名には、14日後に再度同じ調査を行った。新たに作成した尺度は「身体状況の認知 (6項目)」「生活活動の充実 (4項目)」「心理的安寧 (4項目)」の3因子構造であった (GFI=.92,CFI=.90, RMSEA=.06)。内的整合性は、α=.61-79であった。14日後の得点との相関は、r=.59-64であった。全ての因子に関して、運動習慣者のほうが、得点が高かった。調査Ⅱでは、虚弱な高齢者35名 (77.6±6.2歳) を対象に、運動教室前後の尺度得点の反応性を検討した。「身体状況の認知」について運動教室による得点の上昇が認められた。以上より、尺度の信頼性、妥当性、および反応性の一部が確認された。