2010 年 4 巻 1 号 p. 60-67
成年後見制度においては親族成年後見人等の割合が減少傾向にある。本稿は右変化の主要因と今後の変化の方向性の検討を目的とし、後見制度の性質の変遷と家族形態・家族機能の変化の2つの観点から検討する。後見制度の性質は、家産維持から後見人利益保護、本人利益保護へと変遷し、本人利益保護を目的としつつ親族自治的性格を有するものと有しないものとがある。現行成年後見制度は本人利益保護を目的とし親族自治的性格を有しないため、成年後見人等は親族に限定されない。次に、独居・夫婦のみ高齢者世帯の増加等に基づく家族形態の変化に伴い、家族が福祉機能 (保健医療機能) を果たすことは困難となり、家族・親族のみが高齢者等の判断能力の補完の役割を担うのは難しい。よって、親族成年後見人等の割合減少は上記2点から根拠づけることができ、右傾向は続くと考える。今後は、第三者成年後見人等の確保、法人成年後見人等の意義の研究が重要となる。