Sago Palm
Online ISSN : 2758-3074
Print ISSN : 1347-3972
研究・調査報告
泥炭層の厚さと地下水位がサゴ生育に与える影響
S. Jong F. 渡辺 彰平林 大輔松田 沙知Purwanto B.H.角田 憲一安藤 豊
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2006 年 14 巻 2 号 p. 59-64

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抄録
 サゴヤシはデンプン生産量の高い永年生の作物である.1本のサゴヤシから約200kgのデンプン(乾燥重量)が幹に蓄積し,サッカーを利用することによって永続的に生産が可能である.サゴヤシはまた,低pH耐性があるため,泥炭や硫酸酸性土壌で生育可能である.無施肥,栽培管理なしの条件で厚い泥炭土壌で生育したサゴヤシは泥炭層がうすい土壌で生育したサゴヤシに比較して生育が劣る.そこで,本実験では3圃場において泥炭層の厚さと地下水位がサゴヤシの生育に与える影響について検討した.供試した3圃場の土壌pHは3.8〜4.6であり,サラワクの一般的な値(pH3,2〜4.0)よりやや高かった.
 最低限の排水と栽培管理を行った厚い泥炭層では,移植後10〜15年のサゴヤシのうち20%が幹立ちをしていたが,成熟期までは達していなかった.このサゴヤシは6〜10枚の葉を持ち,幹の高さは1〜4m,胸高直径は41cmであった.
 排水しない厚い泥炭土壌では,移植後8年で幹立ちをしているサゴヤシは10%以下であった.一方,泥炭層が薄い土壌で生育した移植後5〜6年のサゴヤシは80%以上が幹立ちをし,12〜15枚の葉が認められた.これらのサゴヤシは10 〜11年で高さ8m,胸高直径45cm程度となり,成熟した.
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© 2006 サゴヤシ学会
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