抄録
パプアニューギニアでは,古くからサゴヤシ伐倒木に発生するオサゾウムシを食用としていることが知られている.今回の調査により採集された種は,ヤシオオオサゾウムシであることが判明した.住民は伐倒後放置されたサゴヤシから,オサゾウムシの幼虫を採集する.子供達はその幼虫を生きているまま呑み込むことを好むが,一般的な食べ方としては,虫をココナツミルク,塩,味の素,玉ねぎ,アイビカ,フクロタケなどと煮て,シチュー状にしたものである.化学分析の結果,幼虫生体は水分73.4%,タンパク6.9%,炭水化物8.5%,脂肪11.3%,灰分0.7%よりなることが明らかになった.またアミノ酸分析の結果は,トリプトファンが遊離およびタンパク構成アミノ酸中に欠如していることを示した.文献によるデータを参照して,ヤシのオサゾウムシ類の生活環,利用法,食用法などを検討した.