抄録
ヤシの葉は熱帯地域では建材,手芸品の材科,記録材料として,利用されているが,そのうちでもサゴヤシ,ニッパヤシ,ココヤシが首位をしめている.この3者の耐久性をしらべるために,その構造を観察し,その耐久性との関係を検討した.サゴヤシの葉には葉肉紺織がしっかりつまり,繊維の強い柔構造であり,ニッパヤシは外皮と壁状の葉脈による箱形の硬い構造であった.それにくらべて,ココヤシはサゴヤシに似た構造であるが,繊維が弱いので,前2者にくらべて耐久性が小さかった.しかし,これらのヤシの業は,それぞれの性質を知った上で利用すれば,有用な自然の資源として活用できると考えられた.