Sago Palm
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Print ISSN : 1347-3972
研究・調査報告
インドネシア,南東スラウェシ州の農村と農業
第1報 農村の現状と食生活
西村 美彦
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1995 年 3 巻 2 号 p. 55-61

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抄録
 南東スラウェシ州はまだ開発は十分進んでいない地域であり,農村は伝統的農法を継承しながらも水田耕作が取り入れられ始めた.水田耕作は他の地域からの移住者によって伝搬されたもので,伝統的な農業も変わりつつある.クンダリのある半島部は先住民としてトラキ人が住んでおり,南部の島にはムナ人,プトン人が先住民として住んでいる.彼らの伝統的農業は焼畑とサゴヤシで森からの採集を合わせ生計をたてており,この生活は自給を基本としたものであった.しかし異なる背景をもつ民族の移住によってもち込まれた,水稲栽培の農法は新しい村の形成に影響を与える大きな要因となっている.
 村はトラキ語を語源として,約300世帯で形成されているが,先住民だけの村,移住者の混在している村,水田が導入されている村など発展段階の違いが認められる.クンダリ周辺の村では米,サゴ,トウモロコシが重要な主食となっており,村によって食する形態が変わっている.米はほとんどの村で重要な主食となっていたが,これにサゴデンプン,トウモロコシが加わり,わずかに芋,バナナも含まれている.主食となるものは民族の嗜好性と村の作物の生産状況によると思われる.以上のことから,この地域では焼畑を中心とした雑穀農業と湿地のサゴ採取農業が主流をなしていたが,水田耕作が新しく導入され多様な変化が始まっていることが明らかになった.
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© 1995 サゴヤシ学会
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