2002 年 44 巻 3 号 p. 95-99
職場環境等の改善を通じた事業場におけるストレス対策の方法および効果についての文献レビューの結果,数多くの対策前後のみの比較研究あるいは事例研究,さらに少数ではあるが比較対照研究や無作為化比較研究から,職場環境等の改善が従業員のストレス(職業性ストレッサーおよび心理的・生理的ストレス反応)の軽減に効果的であることが示された.また職場環境等の改善においては,専門家からの助言を得ながら上司あるいは従業員が参加することが効果的であると推測された.これらに基づいて,職場環境等の改善を効果的に進めるための,5つのステップを提案した.残された課題としては,より優れたデザインの研究,結果指標と対策の種別との関係の明確化,社会的状況による修飾,ツール類の開発があげられた.