産業衛生学雑誌
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調査報告
企業における相補代替医療の利用:ある製造業の作業者の調査
沢崎 健太櫻庭 陽桝田 文八石井 千代横山 和仁
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2005 年 47 巻 6 号 p. 254-258

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抄録

企業における相補代替医療の利用:ある製造業の作業者の調査:沢崎健太ほか.鈴鹿医療科学大学鍼灸学部―先進諸国では相補代替医療(Complementary and Alternative Medicin;以下CAM)の拡がりが見られている.今回,わが国の労働者がCAMをどの程度認知し,利用しているかをある大手住宅建築業の工場の従業員を対象に質問紙調査を実施した.調査項目は,年齢・性別,最終学歴,職種,過去1年間に利用したCAMの種類と自己負担額,過去1年間に利用した現代西洋医学の自己負担額,CAMを利用した理由などである.有効回答者は263名(回答率84.3%)であった.回答者のうち過去1年間にCAMを利用した者は134名(51.0%)であった.その内訳は栄養ドリンク(35.4%),サプリメント(16.3%),マッサージ・指圧(13.7%),カイロプラクティックまたは整体(8.7%),健康器具(6.5%),ドラッグストアのハーブや漢方薬(3.4%),アロマテラピー(1.9%),鍼灸(1.9%),その他(1.5%),ホメオパシー(0.0%)であった.1人あたり年間利用額はCAMでは約17,500円,また現代西洋医学は約21,300円であった.CAMを利用した理由は,「病院,医院に行くほどの深刻な重症でない」(51.9%),「健康全般に良い,病気が予防できると期待している」(39.3%)などであった.CAMの利用者は予想以上に多く,今後,さらに企業内従業員のニーズが高まるようであれば,CAMに対する産業保健におけるコンセンサスが醸成されると期待される.(産衛誌2005; 47: 254-258)

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© 2005 公益社団法人 日本産業衛生学会
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