産業衛生学雑誌
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調査報告
大阪府内の医療機関における内視鏡消毒作業の現状
宮島 啓子田淵 武夫熊谷 信二
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2006 年 48 巻 5 号 p. 169-175

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抄録

大阪府内の医療機関における内視鏡消毒作業の現状:宮島啓子ほか.大阪府立公衆衛生研究所生活衛生課―内視鏡消毒作業の実態と洗浄従事者の健康状態を明らかにするため,大阪府内173医療機関を対象にアンケート調査を行った.医療機関の55.5%がグルタラール(GA)を,32.4%がフタラール(OPA)を,8.7%が過酢酸を使用していた.また,57.8%の機関で,最近5年間に消毒剤の種類を変更しており,代替品の使用が徐々に広がっていることが確認された.消毒作業中の症状の訴えは35.8%あった.症状の訴えはGA使用時が最も多いが,OPA使用時にもあった.浸漬槽洗浄法は自動洗浄機洗浄に比較し症状の訴えが多く,曝露が大きいと考えられる.内視鏡消毒室は,全体換気装置に比較し局所排気装置の設置が少なく,また,保護具の使用状況も十分ではなかった.今後,医療現場の環境測定を実施し,局所排気装置や全体換気装置の設置,あるいは保護具の着用を推進していくとともに,消毒剤取り扱いに関する衛生教育が不可欠であると考えられる.また,代替品としてOPAや過酢酸の導入が進みつつあるが,これらの物質のヒトへの影響はまだよく分かっていないため,疫学調査を行い,許容濃度などを設定する必要がある.
(産衛誌2006; 48: 169-175)

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