山陽論叢
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玄米発酵抽出エキスが成長期ラットの肝機能に及ぼす影響
檜垣 俊介松尾 達博
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2018 年 24 巻 p. 141-148

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抄録

近年、発酵食品や玄米食が健康に寄与するとして広く認知されている。玄米発酵抽出エキスは、焙煎した玄米を麹菌(Aspergillus oryzae)にて48時間発酵させたのち、アルコール抽出して得られた物質であり、100g当たり5gの核酸成分を含んでいることが特徴である。筆者らは、核酸成分を主体とする玄米発酵食品の摂取による肝障害軽減効果について、四塩化炭素によるマウス肝障害モデルを用いて検討を行い、玄米発酵食品の摂取による肝障害軽減効果があることを明らかにしている。このことを踏まえ、本研究では、食餌中の核酸成分の機能性について、ラットの肝機能に玄米発酵抽出エキスが影響を及ぼすか否かについて検討した。また、玄米発酵抽出エキスと試薬核酸とを比較して、玄米発酵抽出エキスの機能成分が核酸のみであるか否かについても調べた。3週齢のWistar系ラット27匹を、コントロール(無核酸)群(CON)、核酸群(NA、Nucleic acid)、玄米発酵抽出エキス群(ER、 Extract of the fermented brown rice)の3群に分け、各実験食を与えて3週間飼育した。その結果、単位重量当たりの肝臓中性脂肪含量には各群間で有意差を認めなかったが、肝臓当たりの中世脂肪含量はCON群に比べてER群で有意に低値であった。また、単位重量当たりの肝臓コレステロール含量はCON群およびNA群に比べてER群で有意に低値であり、肝臓当たりのコレステロール含量はCON群に比べてER群で有意に低くなった。以上の結果より玄米発酵抽出エキスは、肝臓脂肪蓄積制御効果を有することが推察された。

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© 2018 山陽学園大学・山陽学園短期大学
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