山陽論叢
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女性がんサバイバーの妊孕性支援に関する看護教員の思い
那須 明美松本 啓子
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2022 年 28 巻 p. 1-11

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抄録
近年,妊孕性温存療法が可能となり,女性がんサバイバーの子どもを得るという希望 が叶えられる時代となった.しかし,40 歳未満のがん患者へ妊孕性温存に関する情報提供 された割合は低い.妊孕性温存療法の説明がなされた後も,女性は限られた期間にがん治療 の選択に加え,妊孕性温存の選択も並行して行わなければならない.看護師は,患者の意思 決定を支援する際には,その精神的苦痛を理解し,適切な時期に情報提供し,がん治療と生 殖医療の調整役を担う必要がある.看護スタッフの現任教育の必要性に加え,看護基礎教育 においてもその役割は大きい.本研究は,看護基礎教育に携わる教員の女性がんサバイバー における妊孕性支援に関する思いを明らかにすることを目的とした.大学看護学部に所属 する教員を対象に半構成的面接を実施した.質的因子探索的にインタビュー内容を分析し た結果,女性がんサバイバーの妊孕性支援に関する看護教員の思いは,【妊孕性温存の情報 が希望となった友人の経験】【多くの懸念と実施への考慮】【今後の妊孕性支援の充足】【母 性看護学を含む教育の推進】の 4 カテゴリーが抽出された.看護スタッフを含む医療従事 者の更なる啓発を必要としている現状において,女性本人の意向に沿った支援ができる様, 看護基礎教育での母性看護学を含む教育の充足が課題と考える.
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© 2022 山陽学園大学・山陽学園短期大学
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