抄録
燃油価格の高騰により,寒冷地域の施設園芸においても導入が進んでいるヒートポンプシステムについて,一次側熱源の違いがシステムCOP(Coefficient of Performance,成績係数)などの運転特性に及ぼす影響について検討した。その結果,地中熱源ヒートポンプシステムのシステムCOPは,調査期間を通して概ね3.5から4.0の範囲で推移し,調査期間中の平均は3.89と高かった。一方,地中熱源ヒートポンプシステムの放熱係数から求めた空気熱源ヒートポンプシステムのシステムCOPは,概ね1.8から2.5の範囲で推移し,調査期間中の平均は2.14と低かった。また,地中熱源ヒートポンプシステムの暖房能力は,空気熱源ヒートポンプシステムに比べて約67%高い結果が得られた。地中熱源ヒートポンプシステムのコンプレッサーユニットの消費電力は,空気熱源ヒートポンプシステムに比べて30%以上少なかった。また,地中熱源ヒートポンプシステムは,コンプレッサーと送風ファンだけでなく,不凍液の循環ポンプを運転する電力も必要であるが,これらすべての消費電力を積算しても,空気熱源ヒートポンプシステムよりも22%少なかった。