抄録
本報告は,個人の作成する映像(CGV)を自宅に置いたまま,ネットワーク上にある複数のビデオサーバの一つをとおしてストリーミング視聴することが可能なビデオサーバシステムについて述べる.CGVが蓄積されるストレージとビデオサーバは,ユーザの視聴要求を契機とした接続要求に基づき,iSCSI(SCSI over TCP)プロトコルで接続される.iSCSIプロトコルでビデオサーバからアクセスされるブロックデータの読み出し品質を保証するため,当該区間で使用するネットワークには,NGN(Next Generation Network)に代表される高品質のIPネットワーク(Managed IP Network)を利用する.TCPプロトコルを使用するiSCSIの特性上,往復ネットワーク遅延(RTT:Round Trip Time)がiSCSIループットに大きく影響する.iSCSIストレージとビデオサーバ間のRTTは,双方の所在地とネットワークトポロジーにより決定されるため,ストリーミング品質が,使用するビデオサーバや当該サーバ上で同時に処理されるストリーミング数に依存しないシステム設計が求められる.本報告では,ストリーミング品質の公平性を担保するため,iSCSIプロトコルの使用するTCPコネクション多重度数を動的制御する手法を適用する.そして,RTTが最大100msの場合も,3Mbps程度のストリーミング転送が安定的に実現可能であることをシミュレーションにより示す.