農業施設
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農業機械基盤技術の海外移転に関する考察
─地方農業機械・施設メーカーの海外進出の事例研究─
大橋 勇一 佐竹 隆顕
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 48 巻 4 号 p. 241-248

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抄録
本研究は,我が国における次世代の農業資源利用を支える農業機械基盤技術(以下技術)を維持・向上するため,地方農業機械・施設メーカー(以下専門メーカー)が有する技術の海外移転を通じて各メーカーの立地する地域の経済活性化に貢献する海外進出について考察する事を目的とした。最初に専門メーカーが有する強みを,地元主体の労働集約的な「研究開発」・「生産販売」・「雇用」の企業活動のリンクの総体であるネットワークとみなし,専門メーカー経営史等の文献調査を行った。次に海外進出を果たした先行メーカー等に各種調査を行い,海外進出事例や,意思決定要因等の情報収集や分析を行った。その結果,専門メーカーの海外進出には,現地生産化による現地従業員への技術移転を通じ,現地でソーシャル・キャピタルを獲得・拡大することが近道であると考えた。これは経営者の海外進出を通じ,進出国へ社会・経済貢献するというイデオロギーを優先した関係合理性の選択が,結果的に国内外での公共的資本獲得へと導くからである。他方,国内事業の空洞化を避けるため,より高度な新しい製品の研究開発や世界販売戦略等,新しい雇用層を創出する知識集約型企業活動への経営構造転換が,地域活性化を生み出す海外進出の一方策であるとの結論を得た。
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