日本化粧品技術者会誌
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多重解像度解析を用いた肌のつやの客観的評価方法と応用
藤井 誠三崎 裕子佐々木 一郎
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2009 年 43 巻 2 号 p. 72-78

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抄録
肌のつやは,物質としての皮膚の性質に加えて,皮脂,化粧膜,また皮膚表面の形状などの影響をうけ,時には「てかり」と判断される場合があり,光沢度が同程度でも光沢の質によっては,望ましくない状態が存在する。そこで本研究では,顔全体の光沢を一度に測定し,目鼻立ちなどの顔の特徴を表す光沢成分と,しわや毛穴などを表す光沢成分に分解する手法を開発した。これらの2つの成分が与える光沢の印象の違いに着目し,この2つの光沢成分を定量化することで光沢の印象を表現した。この手法では,まず二色反射モデルにもとづいて顔全体の光沢分布を画像として抽出した。次に,多重解像度解析を行い,毛穴やしわなどを表す光沢成分をtexture imageとして,また,顔の目鼻立ちなどの特徴を表す成分はfacial feature imageとして,毛穴や鼻などの位置や形状を保存したまま,画像として抽出した。この手法によって,肌の光沢感をTexture Index(TI)とFacial Feature Index(FI)の2つのパラメータとして定量化し,光沢の印象を定量化した。定義したパラメータと官能評価による光沢の印象とを比較し,その信頼性を評価した結果,提案した手法の有効性が示唆された。
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© 2009 日本化粧品技術者会
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