日本化粧品技術者会誌
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スティック状口紅における使用感の数値化
川原 慎一津原 一寛蓜島 一善奥山 雅樹
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2011 年 45 巻 1 号 p. 28-34

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抄録

使用感は化粧品を購入する上で重要な判断材料のひとつである。われわれは,一定の負荷荷重をかけながら,塗布抵抗をスティック状のまま測定することができる新しい測定機器を開発し,スティック状口紅の使用感を数値化する検討を行った。まず,塗布抵抗測定結果と付け感評価との相関を確認し,本評価方法の有効性を検証した。ついで,再塗布までの時間間隔を変え,再塗布時の抵抗を測定することにより使用後の持続感を数値化することを試みた。その結果,塗布膜の増粘に伴う塗布抵抗の増大が顕著にみられるものが確認された。これは化粧膜が形成する際の結晶粒子間の相互復元力に起因していると考えられる。そこで,この復元力により粒子が再配列を行い,塗布抵抗が時間変化する増粘モデルを仮定し,その妥当性の検証を行った。さらにこのモデルより得られる近似定数と官能評価結果との関係について検証した結果,評価項目のうち,付け感および使用後の定着感について,近似定数と一致度があることが確認された。

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© 2011 日本化粧品技術者会
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