抄録
皮膚状態を客観的かつ正確に評価する方法の開発は化粧品研究における重要な課題の一つであり,評価結果の表示は,定量性のある数値データと一目で直感的にわかりやすい画像などの視覚データの両方で行われることが期待される。皮膚の柔らかさや弾力性は,とくに顧客の関心が高いが,数値データで示せても視覚データで示すことは不得意である。そこで,われわれは,皮膚の柔らかさや弾力性について,数値データと視覚データの両方で表示可能な客観的評価法の開発を試み,球体落下試験法を考案した。球体落下試験法は,皮膚の真上から垂直に自由落下させた球体が皮膚に当たり跳ね返る様子を真横から高速度カメラで撮影し,時間経過に伴う球体の変位を数値データと視覚データの両方で取得するものである。球体落下試験法の測定パラメータの一つである受け止め時間t1+t2は,皮膚の柔らかさの官能評価値と有意に高い正の相関性を示した。また,跳ね返り高さh2は,皮膚の弾力性の官能評価値と有意に高い正の相関性を示した。これらのパラメータは,数値だけでなく画像でも表示可能であり,触覚的要素の強い皮膚力学的特性を視覚的にも表示する新しい客観的評価法となる可能性を見出した。