日本化粧品技術者会誌
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眼輪筋に着目した目もとの加齢変化のメカニズム解析
村上 祐子足立 浩章田中 浩八代 洋一中田 悟
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2015 年 49 巻 1 号 p. 36-41

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抄録

目もとの特徴として, その加齢変化に眼輪筋の影響が大きいことが挙げられる。眼輪筋は表情筋の一種であるが, 眼球の周りにある脂肪を支える役割も有する。加齢により眼輪筋が薄くなると脂肪を支えきれなくなり, 脂肪が前方に突き出すことで目の下のタルミなどの変化が現れる。眼輪筋形成には筋芽細胞からの筋管形成が重要であるが, 最近の研究から, この過程に線維芽細胞から産生されるIGF-1が関与していることがわかってきたため, 線維芽細胞におけるIGF-1産生の加齢変化について検討した。また, 実際にIGF-1を筋芽細胞に添加した場合の細胞増殖能および細胞から筋管への形態変化について検討した。さらに, 線維芽細胞におけるIGF-1産生に及ぼすクロバナツルアズキの効果についても検討した。その結果, 線維芽細胞におけるIGF-1の発現は加齢とともに顕著に減少した。また, IGF-1は濃度依存的に筋芽細胞の増殖を促進した。そして, 筋芽細胞にIGF-1を添加して培養することにより, 細胞が融合し, 太い筋管の形成が観察された。さらに, クロバナツルアズキはIGF-1の発現を促進した。以上から, 眼輪筋の衰えを引き起こす一因として, 線維芽細胞から産生されるIGF-1が加齢とともに減少することが考えられた。また, IGF-1は筋芽細胞に作用し, 細胞の増殖および筋管形成を促進させることが示唆された。さらに, クロバナツルアズキは真皮の線維芽細胞からのIGF-1産生を高め, 筋芽細胞の増殖および筋管形成を亢進させることで眼輪筋を強化し, 目もとの老化抑制効果を示す素材であることが推察された。

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