実験社会心理学研究
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原著論文
返信は早い方が良いのか?―携帯メールやLINEにおける「互酬性仮説」の検証
村上 幸史
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2023 年 62 巻 2 号 p. 80-93

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抄録

携帯メールやLINEのやりとりにおいては,送受信の行為自体が,一種の社会的交換と見ることができる。ただ返信するだけでなく,できるだけ早く返信するという返報の義務の存在からは,返報の速度自体にも価値が置かれていると考えられる。そのため,利用者が相手との不均衡さを感じた場合には,返信速度を調整することによって,相手に合わせた対応をしたり,何らかの意思表示をしているのではないかと推測される。そのため,やりとりの早さは,返信が早い相手には早いが,遅い相手には遅いという「つりあい」が取れた形で現れると考えられる(互酬性仮説)。本研究ではこの仮説を検証するために,メールとLINEに関する調査を行った。その結果,自分と相手の返信速度や文字数の間には高い相関が見られた。また返信の早さは,相手の返信の早さによって違いが見られた。

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© 2023 日本グループ・ダイナミックス学会
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