抄録
本研究では,クレンジングオイルの使用感を,物性測定装置を用いて評価する方法を開発した。人がクレンジングを使用する際,試料間同士の識別に重要な感覚を抽出するため,複数のクレンジングについて官能評価を行い統計解析した。その結果,「伸ばしやすさ」および「洗浄後のべたつき」を重視していることが示唆されたため,この使用感を数値化する評価手法を検討した。「伸ばしやすさ」は,動的粘弾性測定装置を用い,人がクレンジングを皮膚に塗布する動作を模倣し,クレンジングを塗布した人工皮膚上で球状の冶具を回転させる際にかかるトルク値を評価した。また,「洗浄後のべたつき」は,クリープメーターの引張り試験により,クレンジング塗布後にすすぎ処理を行った試料台からプランジャーを引き剥がす際に要するエネルギー値を評価した。いずれの評価手法も官能との相関が高く,機器測定によりクレンジングの使用感を数値化することが可能となった。