2017 年 51 巻 1 号 p. 18-26
使用感が良好で耐水性に優れたO/Wエマルジョン製剤の検討を行った。油と水の界面張力を下げるノニオン系界面活性剤を用いた乳化物は,使用感や再乳化され耐水性が悪いことから,物理的な力で(機械的に)乳化させ,乳化剤は少量で行うことができれば使用感も良好であると予測した。この機能を達成するにはジェミニ型の界面活性剤が適していると考え,ラウロイルグルタミン酸Naをリジンで連結させたジラウロイルグルタミン酸リシンNaを合成し,表面張力測定や乳化力,カップシェイク法による耐水性などの検討を行った。その結果,ジラウロイルグルタミン酸リシンNaはモノマーに比べ臨界ミセル濃度が低く,少量(0.03~0.1%)で油の種類や量に関係なく乳化が可能であり,経時による粒径変化が少なかった。また,少量の界面活性剤で乳化された乳化物は,ノニオン系界面活性剤による悪い使用感(べたつき感など)が少なく,再乳化されにくいので耐水性に優れ,皮膚や毛髪に油分を多く残存する結果でもあった。以上の結果から,ジラウロイルグルタミン酸リシンNaを乳化剤として使用すると,使用感が良く耐水性にも優れた乳化物が得られることがわかった。