2020 年 54 巻 2 号 p. 121-128
化粧品の触感は,製品の購入や嗜好に影響を与える重要な感性価値の1 つである。これまでの化粧品の触感の評価法は,官能評価とレオロジー特性をはじめとした物理特性との関連を検討する手法が一般的であった。しかしながら,化粧品を肌に塗布し始めてからなじむまでの触感の時間変化を評価する方法は,一般的ではなかった。触感は,「触れる」という能動的動作を介して認知されることから,人が触感を感じている際の指─製剤─肌の間で生ずる動的挙動(ダイナミクス)に踏み込んで検討する必要があると考える。そこでわれわれは,指の動きを計測し化粧品の触感との関連について検討を行った。本稿では,まず触感に関わる定義をはじめ,その知覚・認知メカニズムについて概説する。次に,われわれが開発した指上に違和感なく装着できる慣性センサについて説明した後,指の動きと化粧品の触感との関連を検討した知見および応用例を説明する。