2021 年 55 巻 2 号 p. 162-168
香りの生理効果としてストレス抑制効果が注目されている。本研究では香りを有する発酵化粧品原料のストレス抑制効果を生理的・心理的測定により検証した。香りを有する化粧品原料には,既存の化粧品原料であるホエイを培地として酵母(Wickerhamomyces pijperi)を培養した新規発酵液を用いた。この発酵液は8種類の香気成分を含み,フルーツ様の香りを呈していた。28名の健康なボランティアに計算ストレス(内田クレペリンテスト)を負荷し,その後安静にさせ,ストレス期と安静期の生理的および心理的ストレス指標の変化を調べた。香りは内田クレペリンテストの前中後の3回嗅がせた。生理的指標として心拍間隔変動,手掌発汗および唾液ストレスマーカーを測定した。また,被験者の気分を気分プロフィール検査(POMS)および2次元ビジュアルアナログスケール法で測定し,心理的指標とした。水を対照として比較したところ,この発酵液の香りを嗅いだ群は,ストレス負荷による手掌発汗の上昇および気分プロフィール検査における混乱─当惑スコアの上昇が有意に抑制されていた。以上の結果より,本発酵液の香りにストレスを抑制する効果のあることが,生理的・心理的パラメータの両面から示された。