日本化粧品技術者会誌
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原著
新規パール光沢技術の開発
中野 章典辻 延秀野呂 哲也前山 薫牧 昌利鳥飼 直也
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2021 年 55 巻 3 号 p. 281-287

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抄録

界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)・ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテルを用いて,高級アルコールとしてセタノールを配合すると,低濃度の水溶液において新規な“パール光沢”が発現することを見出した。このパール光沢水溶液について,パール光沢の発現メカニズムを明らかにするために,大型放射光施設(SPring-8)において,温度を変えながら小角X線散乱(SAXS)と広角X線散乱(WAXS)の同時その場測定を行った。濃度が15 wt%の混合試料水溶液については,40°C以下でSAXSプロファイル中に複数の鋭いピークが観測され,高次ピークが一次ピークの整数倍の散乱ベクトルqの位置に見られたことから,ラメラ構造の形成が示唆された。一方,WAXSにおいてはqが15 nm-1付近に鋭い回折ピークが40°C以下で観測されたことから,αゲルに由来する会合構造の形成が示唆された。濃度がより低い2.5 wt%の混合試料水溶液については,長周期構造に由来するピークは観測されなかったが,WAXSのαゲルに由来する回折ピークが見られたことから,パール光沢の形成にαゲル構造が関与していると考えられる。以上の結果より,パール光沢水溶液は二分子膜構造の分散体であることが示唆され,これら分散体が光を多重反射することでパール光沢を呈すると推察される。本研究により得られた知見を化粧水に応用した。αゲル構造を有するパール光沢化粧水は,外観は美しく,さらに,αゲル構造により保持される束縛水の存在は保湿効果に寄与することが示唆された。

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