2022 年 56 巻 1 号 p. 27-32
一般に毛髪は毛先ほどダメージが大きくなり,洗髪水等に由来する金属が蓄積しやすくなる。酸化染毛剤(ヘアカラー)には,毛髪のダメージ度合いによって染毛性が変化してしまう現象がある。日常生活の条件に近い毛髪でキューティクルの微細構造における金属分布を調べたところ,最表面のA層とエンドキューティクル各層に銅が蓄積していることが確認された。酸化染料はコルテックスだけでなくキューティクル層にも染着するため,ダメージ部分のキューティクル層では酸化染毛剤に含まれる過酸化水素の触媒作用が強くなり,酸化染料の反応性が変化して過染色などの現象が生じていると考えられた。また,キレート処理をすることにより最表面A層の銅が減少することも確認され,過染色が抑制される主な要因と考えられた。