日本化粧品技術者会誌
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原著
水ベースでメイクを落とすことは可能なのか?
─新規スポンジ構造会合体による水系高洗浄力メイク落とし─
渡辺 啓渡邊 由樹張 陽増田 収希松本 千景島 孝明齋藤 直輝
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ジャーナル 認証あり

2022 年 56 巻 3 号 p. 262-270

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抄録

水はもっともサステナブルかつナチュラルな化粧品原料である。化粧品の市場においては近年,環境意識の高まりによりケミカルなイメージの物質を避ける消費者が増えており,オイルフリーかつ水ベースのクレンジングローションが伸長している。水を想起させる透明外観・低粘度・さっぱりした使用性が好まれる一方で,親水性界面活性剤のミセル水溶液を基剤としているため,油性の汚れであるメイクとのなじみには限界があり,洗浄力が課題であった。この課題を解決すべく,われわれはスポンジ相と呼ばれる会合体溶液に着目した。このスポンジ相においては界面活性剤分子が2分子膜を形成し,膜が3次元の網目状にネットワークを構成している。得られたスポンジ相は界面張力がきわめて低く,疎水性表面において興味深い濡れ広がりの挙動を示し,この作用により高いメイク落とし効果を有することが明らかになった。この結果,水ベースらしい性状や使用性を維持しつつ高い洗浄力を有する,新規クレンジングローション基剤の実用化が初めて可能となった。

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