日本化粧品技術者会誌
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原著
分子デザインされたシリコーン皮膜剤を用いた高化粧持ち口紅の開発
吉田 祥麻東 竜太外尾 恵美
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ジャーナル 認証あり

2022 年 56 巻 3 号 p. 271-280

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抄録

高化粧持ち口紅に用いられる技術として,皮膜形成剤により唇を固い皮膜で覆うことで持続性を高める技術が広く用いられてきた。しかし,こすれにより化粧崩れが起きやすく,乾燥感が生じやすいといった課題があった。本研究では,マスクなどへの色移りを防ぐ硬さを有しながらも,唇の動きに追従する柔軟性をもち乾燥感を低減した口紅用シリコーン皮膜剤を開発した。この新規シリコーン皮膜剤の性能を評価するために,柔軟性,硬さ,硬化過程を従来のシリコーン皮膜剤と比較した。開発品の分子量や分子構造が物性に与える影響も評価し,分子量と架橋密度が機械特性の向上に重要であることが示された。従来の皮膜剤の組み合わせでは硬さと柔軟性はトレードオフの関係にあり両立ができなかったが,新たに架橋構造,分子量を調整した開発品は,硬さと柔軟性の両立を達成した。また,開発品の有用性を確認するために,製剤を調製し,耐色移り試験,色保持試験および12時間の長時間持続性試験を実施した。その結果,きわめて高い耐色移り性,色保持性を示すことが明らかになった。また,乾燥感評価,収縮性試験の結果,従来品と比較して膜の収縮が少なく有意に乾燥感が低減していた。

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© 2022 日本化粧品技術者会
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