2023 年 57 巻 2 号 p. 141-151
化粧品原料における糖アルコールはスキンケア・ヘアケア向けの保湿剤として認識されている。糖アルコールの中でもソルビトール,キシリトールが多く利用されているが,分子構造が類似の多価アルコール(例:グリセリン)に比べると,圧倒的に利用されていない現状である。本研究では単糖糖アルコールに焦点を当て,リーブオン化粧品で重要視されるテクスチャーと保湿性について検証を実施した。各単糖糖アルコールもしくは比較対象としてグリセリンを配合した化粧水を用いて,まずはテクスチャーを官能試験と機器測定により評価した。テクスチャーの中でも乾燥直前のブレーキ感,乾燥後のべたつきのなさ,さっぱり感,しっとり感などが,グリセリンと異なり,また単糖糖アルコール間でも大きく異なることが示された。次に角層水分量を測定し,単糖糖アルコール間でも保湿力に違いがあることが確認された。分子構造が類似の成分であるものの,テクスチャーや保湿性に違いがあることが示された点は興味深い。以上より,リーブオン化粧品の商品コンセプトに応じて,単糖糖アルコールを使い分けることで商品設計に大きく貢献できる可能性が期待された。