抄録
皮膚の微小循環は, 皮膚に栄養や酸素を輸送し, 体温調節をする働きがあることから, 微小循環の血流の状態が皮膚表面に反映されていると考えられる。しかしながら, 皮膚の微小循環の血管構築は複雑で, 血流も一定でないことから皮膚の表面状態との対応はつかなかった。そこで, 複雑な微小循環を計測するために, 深度別血流計測が可能なプローブを考案した。このプローブの特徴は, 一度の装着で同一部位の6点の深さの血流を測定できることである。このプローブをもちいて, 様々な肌状態 (普通肌, 肌荒れ, 敏感肌, 赤ら顔, ほてった状態, 血管が透けて見える状態, 血管腫, 太田母斑) の血流計測を行った。
この結果, ほてりによる一過性の血流状態と血管が透けて見える恒常的な血流状態の違いが明確になった。このことは, プローブの有効性を示すものである。