日本化粧品技術者会誌
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金コロイドの化粧品への応用
荻野 和男大田 昌勝松井 順一
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1997 年 31 巻 2 号 p. 158-166

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抄録
塩化金酸をクエン酸ナトリウムで還元すると鮮やかなルビー色の金ヒドロゾルが得られた。この金ヒドロゾルにポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 (60 E. O.) (HC 60) やモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン (20 E. O.) (PO 20) のような親水性非イオン性界面活性剤を加えると, 電解質の添加や凍結に対する安定性が, 格段に向上した。これは, 負に帯電した微粒子同士の電気的反発と界面活性剤による立体的防御の二つの効果によるものと考えられる。HC 60を含む金ヒドロゾルを配合したローションやクリームは, 太陽光暴露下で3年にわたって, 色調の変化がなく安定であった。
また, この金ヒドロゾルと絹フィブロイン水溶液を混合, 強攪拌するとフィブロインが結晶化して赤紫色のシルクパウダーが得られた。これをTEM観察すると, 金微粒子は, フィブロイン中に均一に分散していることが確認された。このシルクパウダーの色は, 熱や光に変色せず, 水や油に滲み出ることがないなど安定性の高いものであった。
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