著者らは簡便性, 迅速性と成分定量性を併せ持つ皮脂分析法としてAL-ATR法の開発を検討した。本法は, アルミホイルで皮脂を採取し, ATR-FTIR法による測定で得られたスペクトルをPLS法を応用したプログラムで解析することにより, 皮脂の主要成分であるトリグリセライド, 遊離脂肪酸, スクアレン, ワックスエステルを定量する方法である。この方法の妥当性を検討したところ, 以下の結果が得られた。 (1) ATR-FTIR法の検量線は直線性を示し, 再現性も良好であった。 (2) 本法での定量値をGC法と比較したところ有意な相関が認められた。 (3) 皮脂採取方法としてアルミホイルと濾紙を比較したところ, 採取される成分の組成はほぼ同等であった。
本法は皮脂採取から定量まで約5分と短時間であり, かつ皮脂の約95%を占める上記の4成分の皮脂組成を概算することが可能であり, 簡便性, 迅速性と皮脂組成分析の両方を兼ね備えた分析法といえる。
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