抄録
ポリオール類はヘアケア製品に広く用いられているにもかかわらず, 毛髪への影響については十分に研究されていなかった。
そこでわれわれはイソプレングリコール (IG) を用いてポリオール類の毛髪への影響について調べたところ, IGには超音波処理によって起こるキューティクルの剥離を抑制する作用や, 毛髪の溶液中での膨潤を抑制する作用があることが明らかになった。
また, balanced fiber methodを用いて, 毛髪の曲げ特性に対するポリオール類の影響を調べたところ, ポリオール処理によって毛髪が軟らかくなった。このとき, 毛髪中の水分量は減少していた。また, DSCを用いて毛髪タンパク質に対する影響を調べたところ, ポリオール処理および毛髪水分量の増加によりα-ヘリックスの変性温度が低温側に移動した。これらの結果よりポリオール類は水と同じ様な挙動を示していることが示唆された。