日本化粧品技術者会誌
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肌の光学特性測定とメークアップ化粧品の有用性評価
中村 直生
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1998 年 32 巻 3 号 p. 233-239

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抄録

メークアップに関連した光学的研究が年々盛んになるにつれ, それらを応用した種々の商品が市場を賑わしている。インターネット上の化粧品各社のホームページにも光学効果を利用した新しい化粧仕上がりの紹介や, 光学効果を演出するための素材, メカニズムの紹介が目に付くようになった。メークアップすることの主目的は好ましい化粧仕上がりを得ることである。そして化粧仕上がりの善し悪しを判断するものが視覚である以上, メークアップ研究は光学的研究なくしては語れないものといえる。化粧品分野で光学という言葉を使用する場合は紫外線と可視光線を対象とする場合がほとんどである。そのなかで今回は上記化粧仕上がりとの関連から, 可視光線に絞って紹介することとしたい。
よく知られているようにヒトの視覚器官は非常に優れたものである。ヒトの視覚と同レベルの評価能力をもつ測定機器は残念ながらまだ存在しないため, 肌やメークアップ化粧品の評価においては官能評価に頼る場面が多いのも事実である。しかし複合的で複雑な評価は別として, 色彩値 (色相, 明度, 彩度) や光沢値等といった比較的単純な評価については, すでに高い精度をもつ優秀な測定機器が開発され汎用されている。これらの光学測定機器を利用することによって官能評価だけでは得られにくいデータの数値化や客観化がなされ, 肌の評価や新しいメークアップ効果の開発に大きな進歩がもたらされたことはいうまでもない。今回は最近開発された新しい化粧仕上がりをいくつか例示しながら, 肌の光学特性測定とメークアップ化粧品の有用性評価について紹介したい。

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