日本化粧品技術者会誌
Online ISSN : 1884-4146
Print ISSN : 0387-5253
ISSN-L : 0387-5253
走査型電子顕微鏡によるオイル/ワックス/水/界面活性剤系の形態観察
生田 香織飯倉 登美雄伊藤 久代横塚 暁人高橋 元次
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 38 巻 4 号 p. 280-291

詳細
抄録

オイル/ワックス/水/界面活性剤で作られる系の硬度とワックスの結晶状態との関連性を検討するため, 走査型電子顕微鏡を用いてその内部構造を観察した。高温・溶融したワックス (水素添加ホホバ油, セレシン, ポリエチレンワックス, カルナウバロウ, マイクロクリスタリンワックス) をアルミ箔で渦巻き状に自作・成形した鋳型に流し込み, 固化した試料について電子顕微鏡観察を行った。その結果, 水素添加ホホバ油においてはフレーム状の結晶構造, いわゆるカードハウス構造が観察されたが, 他のワックスにおいては観察されなかった。水素添加ホホバ油と水との混合系において, フレーム状の構造は丸みを帯び, さらにその上に小さな粒子が存在する像が観察された。一方, 他のワックスでは水と混合しても結晶構造に全く変化は認められなかった。このことは水素添加ホホバ油は特異的に水と高い親和性を持つと考えられた。オイル/ワックス/水/界面活性剤系において, ワックスの種類を変えることにより, その内部構造, 硬度, 水粒子の分散状態は大きく変化した。セレシン/カルナウバロウの系では, カードテンションメーターで測定した硬度は高く, 内部結晶構造は細かく無定形であった。また水粒子径は水素添加ホホバ油配合系に比べ小さかった。一方, 水素添加ホホバ油配合系はカードハウス構造に似た結晶構造を示し硬度は低かった。オイル/ワックス/水/界面活性剤系においてワックスの結晶構造は系の硬さや水の分布状態に重要な役割を果たしているものと考えられた。

著者関連情報
© 日本化粧品技術者会
前の記事 次の記事
feedback
Top