日本化粧品技術者会誌
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小児のアトピー性皮膚炎発症時期と角層細胞面積を指標とした角層バリア機能との関連性
平河 聡太田 尚子島岡 昌幸禹 満山本 一哉
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2006 年 40 巻 1 号 p. 16-22

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抄録
小児におけるアトピー性皮膚炎は生後2-6ヵ月頃に発症する場合が多いと言われている。アトピー性皮膚炎の発症機序はアレルギー的側面に加え, 角層バリア機能の異常が重視されている。しかしながら, この時期の角層バリア機能に着目した研究は少ない。そこで, 本研究では角層細胞面積 (the Average Projected Area of Comeocytes: 以下APAc) を角層バリア機能の指標として, 生後1ヵ月-生後12ヵ月の検討を試みた。その結果, 生後1ヵ月児のAPAcは成人と同程度の大きさであるのに対し, 生後6ヵ月までに頬部, 上腕内側部ともに減少することがわかり, アトピー性皮膚炎の発症時期前後に角層バリア機能の低下が起こっていることが推察された。また, 同一保育園に通園する0-5歳児の12月の上腕内側部において, アトピー性皮膚炎またはアトピー素因を有する対象のAPAcはそれに該当しない対象と比較し, 有意な差を認めた。さらに治療中の患児において, 皮膚所見の変化に伴いAPAcの変動が認められた。以上のことから, 小児における角層細胞面積の減少に示される角層バリア機能の低下がアトピー性皮膚炎の発症に関与していると考えられた。
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