抄録
非線形関数に対する大域的最適化手法のひとつとしてカオスダイナミクスを利用したヒューリスティックな解法が知られている.その代表的な手法として,連続時間の勾配モデルにEuler差分を導入した離散勾配法モデルにおいて,分岐係数とみなせるステップ幅を緩やかに減少させることで実現されるカオス的シミュレーテッドアニーリング法や,その分岐係数をカオス領域の値から収束領域の値へと一気に引き戻すことにより実現される反復スイッチ冷却法などがある.しかし,これらの手法では,カオス探索本来の性質である,「実行可能領域全域を探索」する能力が積極的には生かされないと考えられる.
本研究では,カオス軌道を大域的探索にのみ用い,良質な解の存在する領域が見つかった場合に,別途,局所探索プロセスを用いて暫定解を更新していく方法を提案する.このモデルでは,カオス軌道を局所解へ収束させず,大域的探索が可能な分岐係数を選ぶことができる.また,数値実験により,従来法との比較を行い,提案法の有効性を検証する.