数理的に形式化された枠組みを用いて設計における創発現象の分析を試みる.設計を情報の流れの数理的表現として形式化する枠組みを用いて設計論を表現し,この枠組みにおいて示された設計と教育の形式的表現の類比を用いる.まず,規範的および構成的立場がこの枠組みにおいて持つ特徴を明らかにし,次に,構成的方法と創発現象との間の類似点と相違点を分析し,創発現象をこの枠組みの中でどのように表現できるのかを示す.さらに,一般設計学の枠組みをこの数理的表現を用いて表し,一般設計学の枠組みにおいて創発現象を扱うことが困難であることを示す.また,それを可能とするために,一般設計学の枠組みの拡張すべき方向性を示す.