抄録
近年、コンピュータの普及は一般家庭にまで及び、誰しもがPCを利用するまでになってきている。しかし従来のコンピュータ資源は約70%が利用されず、無駄となっていることが指摘されている。グリッドコンピューティングとはネットワークを介することで、コンピュータのCPUやデータなどの利用されていないコンピュータ資源を、提供場所に依存することなく利用しようという発想のもとに登場したテクノロジーである。特に演算処理においては、複数のコンピュータに並列処理を行わせることで、一台一台の性能は低くとも高速に大量の処理を実行できるようになると考えられている。本報告では、特に並列処理の分野(演算グリッド)に焦点を絞り、グリッドシミュレータであるSimgridを使用してグリッドコンピューティングの性能評価を行う。特にマルチエージェントシミュレーションプログラムなどをグリッドで実行することを想定し、各プロセス間の通信の頻度や、バンド幅などのネットワークの性能がグリッド全体にどのような影響を及ぼすかの性能評価を行う。