抄録
微小流路を利用するマイクロ化学プロセスの実用化に際しては,流路の閉塞を予防することはもちろん,閉塞を速やかに検出するとともに,閉塞箇所を正確に特定できるシステムの開発が重要である.そこで本研究では,1)閉塞発生時の運転データに基づく手法,2)簡易物理モデルに基づく手法,の2種類の閉塞検出手法を提案し,積層型マイクロ熱交換デバイスへの適用を通して,その有効性を検証する.まず,開発したマイクロ化学プロセスシミュレータを用いて,積層型マイクロ熱交換デバイスのシミュレーションを行い,正常運転時および閉塞発生時のデータを生成した.このデータを用いて,提案する2種類の閉塞検出手法の異常検出・診断性能を評価した結果,軽度な閉塞から重度な閉塞までの様々な閉塞状況に対して,迅速な検出および正確な診断が実施できることを確認した.