抄録
近年,製造業各社は従来以上の柔軟な生産システムが重要となっている.従来の最適ロット数の概念は,在庫費用と段取り時間のみを考慮したものであり,システム全体のコストは考慮されていなかった.一方,大規模工場や工場群のシミュレーションモデルを効率的に構築する手法として分散仮想工場が提案されており,詳細な製造コストを評価する方法としてABC分析法が知られている.本研究では,ABC分析法を用いてシステム全体のコストを算定し,それに基づいた適切なロットサイズ設定法を提案することを目的とする.本稿はその基礎研究として分解型生産システムを構築し,ロットサイズとシステム全体のコストの関係を検証する.