抄録
筆者は先に発表した時空間結合ローレンツモデルによるサブシステムにマウントされた相互結合型ニューラルネットワークモデルを、創発システムモデルのひとつとして提案する。本モデルには2つのタイプがある。ひとつはデジタル型のサブシステムを持つ、デジタル・デジタル・ネットワークモデル(DDNモデル)であり、もうひとつはアナログ型のサブシステムを持つ、アナログ・デジタル・ネットワークモデル(ADNモデル)である。両者はともに自己想起型の連想記憶モデルであるが、シナプス荷重値の学習アルゴリズムを持っていないにもかかわらず、サブシステムからの外部刺激入力によって、あらかじめ埋め込まれたベクトル間を自律的に彷徨する、カオス遍歴に似たふるまいが現れる。また、本創発システムを制御する方法として、自己参照モデルと外部刺激強度依存モデルと名付けた2つの方法を提案する。