抄録
本論文はシステム同定においてモデルに対する先験的知識を援用することによってその精度を向上させる技術に関するものである.プロセス系の同定においては現場のオペレータが同定対象についてすでに立ち上がり時間や定常ゲイン等の先験的知識を持っている場合が多く,これを積極的に同定へ利用することによって同定の精度を上げられる可能性がある.
そこで本論文では量や質の不十分な実操業データしか得られないプロセスにおいて,同定対象への先験的知識を補うことによって高精度で信頼性のあるモデルを構築できる手法を提案する.ここでは特に先験的知識の多くが一定の入力に対する時間応答への制約という形式で与えられることに着目し,時間応答曲線への制約条件のもとにモデルを構築する手法について述べ,その有効性をシミュレーションを通して検証する.